全体セッションと討論中心のテーマ別セッションを設けます.下記の討論テーマの中から参加希望テーマ(1つのみ)をご検討ください.

T1: 機械学習工学-機械学習のためのソフトウェア工学-(石川 冬樹,今井 健男,丸山 宏,吉岡 信和)
T2: 効果的にソフトウェアバグを見つけて修正し減らすことを目指したテスト,デバッグ,品質管理(丹野 治門,高田 眞吾)
T3: ソフトウェア開発データの分析と応用(伊原 彰紀,阿萬 裕久)
T4: 形式手法-導入支援と技術教育-(横川 智教,早水 公二)
T5: プログラム理解(岡田 譲二,石尾 隆)
T6: 超スマート社会におけるサービス・エンジニアリング(中村 匡秀)
T7: IoT時代の再利用技術:SPL開発,派生開発,その次にくるもの(野田 夏子,小川 秀人,岸 知二)

 

 T1: 機械学習工学-機械学習のためのソフトウェア工学-

 近年の深層学習を軸とした機械学習の発展に伴い,機械学習を利用するソフトウェアは急速に社会に浸透しつつある.しかしその一方で,従来型のソフトウェア工学は機械学習の前に全くと言っていいほど通用していない.機械学習ソフトウェアの開発・テスト・運用の方法論は未だに確立できておらず,開発現場では試行錯誤に依っている状況である.この現状を踏まえ,機械学習ソフトウェアに対しては「機械学習工学」ともいうべき,新たなパラダイムの確立・体系化が必要である.
 以上の認識に立って,本セッションでは,機械学習エンジニア,ソフトウェアエンジニア双方の立場からの積極的な参加を歓迎する.より具体的には,機械学習システムに対する問題提起や研究報告,開発事例の報告,研究動向調査など,参加者の皆様からの取り組み,あるいはこれから取り組んでみたいという思いについてポジションペーパーを集め,その内容について情報共有と議論を行う.そしてその上で,(1)機械学習ソフトウェア固有の困難さ(2)機械学習ソフトウェアで実現すべきエンジニアリング手法(3)現時点で実践されている,あるいは有望と思しきアプローチ(4)今後,機械学習エンジニア・ソフトウェアエンジニア双方が果たすべきアクティビティ の4点を中心に議論をまとめる.まとめた内容は後日,Webサイトにて公開する予定である.

討論リーダー: 石川 冬樹(NII),今井 健男(LeapMind, Inc.),丸山 宏(Preferred Networks, Inc.),吉岡 信和(NII)
参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ(※ 議論への参加のみの場合は,議論したい内容を200字程度で記述してください)

 

 T2: 効果的にソフトウェアバグを見つけて修正し減らすことを目指したテスト,デバッグ,品質管理

 複雑なシステムにおいては,バグを検出するテストを適切に作成し,バグの原因となる箇所を特定し,他の機能への悪影響がないよう適切にバグを修正することには大きな労力のかかる作業である.また,近年では短期間でソフトウェアをリリースしユーザのフィードバックを得ることを重視する開発スタイルもあり,そのような場合には限られた期間内で効果的にバグを除き,加えてリリース後に発生したバグへの対応を迅速に行うことも必要となる.今後は,機械学習/深層学習を活用した新しいタイプのソフトウェアも増えると予想されるが,これらのソフトウェアでは実行結果の正誤判断(何がバグであるかの判断)自体難しいことも多く,このようなソフトウェアの品質をいかに確保するかも重要になっていくと考えられる.本ワークショップでは,様々なタイプのソフトウェア,様々な開発スタイルにおいて,効果的にソフトウェアバグを見つけて修正し減らすことを目指し,

(1) テスト,デバッグをいかに効率よく行うか
(2) 品質管理をリリース後も含むソフトウェアのライフサイクル全体としてどのような考え方で行っていくか

について,将来有用そうな要素技術や,実際の開発現場における事例(成功事例,失敗事例や課題など)に関する発表と議論を行い,参加者らの知見を共有,発展させることを目的とする.具体的なトピックは,例えば以下が考えられる.

要素技術:テスト自動化技術,TestOracle,デバッガ,バグ同定/バグ自動修正技術,品質管理指標,バグ予測,バグの分類
事例:ユーザのフィードバックを得ながらリリースを繰り返すソフトウェアにおけるテストとバグ管理の事例,機械学習/深層学習を活用したソフトウェアのテスト,デバッグの事例

討論リーダー: 丹野 治門(NTT),高田 眞吾(慶應義塾大学)

参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

 T3: ソフトウェア開発データの分析と応用

 近年,産学の双方において「ビッグデータ」が一つの重要なトピックになってきている.ソフトウェア開発も例外ではなく,ソースコードやその開発に関わる作業履歴,不具合情報といった多種多様で膨大なデータに対してマイニング技術や統計解析手法を適用し,品質の維持・向上に向けたさまざまな取り組みが研究・実践され,さらなる研究分野の発展が期待される.
 本セッションは,そのような開発データの分析方法並びに開発・管理への応用方法について産学双方の立場から情報の共有と議論を行い,より優れた手法の開発と実践に向けた取り組みを支援する場としたい.
  WWS2018では,本研究テーマに沿う幅広い領域でポジションペーパを募り議論を行う.さらに,国際会議Mining Software Repositoriesをはじめとする国際会議論文,学術論文誌で公開されるソフトウェア開発データの調査を行い,その活用方法について議論し,サーベイ論文の分担執筆を行う.
  ただし,本セッションでは Data Showcase に関する議論の時間を確保するため,一人あたりの発表時間は 5-10 分程度とさせていただきます.あらかじめご了承下さい.

討論リーダー: 伊原 彰紀(奈良先端科学技術大学院大学),阿萬 裕久(愛媛大学)

参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

 T4: 形式手法-導入支援と技術教育-

 形式手法とその関連技術によってソフトウェア・ハードウェア開発の効率化および製品の高信頼化・高品質化を実現するために,産業界・学術界において様々な取り組みが進められている.本セッションでは,産学の連携を通じて情報産業における形式手法の普及および利活用を推進するべく,継続的に議論を行っている.現状として,形式手法の産業界への普及は進んでいるが,初歩的な技術の利用に留まっている場合も多い.
 本セッションでは,形式手法を効果的に利活用するための導入支援と技術教育をについて議論を行う.産業界においては自動化技術など導入コストを削減するためのアプローチを,学術界においては形式手法教育のための教材開発についての報告などを歓迎する.
 本セッションでは,議論対象は上記のトピックに限定せず,これまでと同様に,形式的検証や形式仕様記述に加えて,プログラム解析技術の応用や,プロセス代数理論に基づく解析,SAT・SMTソルバの応用など,様々な技術開発に関して,先端技術の利活用からまさに現場で利用されているシステムの検証事例までの幅広い提案を募集する.議論の対象としてはソフトウェア・ハードウェアシステムの検証に加えて,組込み・実時間システムへの適用,セキュリティ問題解決への応用,車載システム・医用システム開発への導入など,適用事例の報告や応用の枠組みの提案を募集している.導入支援ツールの開発などシステム構築に関する報告も歓迎する.産業界からは現場での適用事例や運用方法・ノウハウなど具体的な活動に関する報告を,学術界からは最新の技術動向や学生への教育実践報告などを期待する. 進行中の研究開発に関する途中経過についての報告も歓迎している.

討論リーダー: 横川 智教(岡山県立大学),早水 公二(株式会社フォーマルテック)
参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

 T5: プログラム理解

 ソフトウェアの機能追加やバグ修正,新しい環境への移行などの様々な作業において,プログラム理解が重要なステップとなっている.静的・動的プログラム解析,リポジトリの解析など,様々な方法が既存のソフトウェアの理解のために提案されている.本セッションでは,プログラム理解に関する問題意識や最新の研究アイディアについて相互に紹介し,普通の開発者が使いやすい,使いたくなるプログラム理解技術の形を議論したい.
 本セッションではポジションペーパーを募集するが,企業内での取り組みや今後の論文投稿のためのアイディアなど,まだ形になっていないものについては,ポジションペーパーなしでの発表も認める.

討論リーダー: 岡田 譲二(NTTデータ),石尾 隆(奈良先端科学技術大学院大学)
参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

 T6: 超スマート社会におけるサービス・エンジニアリング

 IoTの本格的な実用化によって,物理空間と現実社会が高度に融合した超スマート社会の実現が現実味を帯びてきている.超スマート社会において,サービスコンピューティングは,モノやシステムをサービスとして抽象化し,それらを連携して価値を生み出すための糊として,重要な役割を果たす.
 超スマート社会では,IoTによってあらゆる場所からデータが生み出され,エッジやクラウドで機械学習をはじめとする情報処理が行われる.これらによって,現実社会の状態を定量化し,必要な時に必要なモノをつなげて,価値を生み出すスマート・サービスが生み出される.こうしたスマート・サービスの裏側では,超大規模な異種分散システムが構成され,これまでのソフトウェア工学では扱えきれなかった様々な課題が顕在化する.
 本セッションでは,超スマート社会におけるサービスづくり(サービス・エンジニアリング)の観点から,サービスコンピューティングやソフトウェア工学,あるいは関連分野において研究・開発すべき課題を洗い出し,期待される技術やアプローチについて議論を行いたい.
 セッションのトピックとして,例えば下記のような話題が考えられるが,これらに限定するものではない.
  • サービスアーキテクチャ
  • サービスデザイン
  • サービステスト
  • サービスイノベーション・マーケティング
  • サービス運用・保守
  • AIのためのサービス
  • データセントリックサービス
  • サービス価値・品質モデル
  • サービスエンジニアリング教育
 本セッションの企画には, 電子情報通信学会・サービスコンピューティング研究専門委員会のご協力をいただいている.サービス指向・クラウドに関する研究コミュニティを形成する場としても活用いただきたい.

討論リーダー: 中村 匡秀(神戸大学)
参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

 T7: IoT時代の再利用技術:SPL開発,派生開発,その次にくるもの

 再利用はソフトウェア工学における重要課題のひとつで様々な技術や実践がなされてきた.特にSPL開発や派生開発などはそれぞれアプローチは違うが,体系だった再利用の手法として効果をあげている.
 一方,IoT時代においては,より複雑化したオープンな環境の中で,より迅速かつ柔軟なソフトウェア開発や運用が求められており,そのためには新たな技術や実践が求められている.また例えばSPL開発では,実務ではシステムエンジニアリングの視点からの再利用への関心がある一方,アカデミアはよりフォーマルなアプローチを試行するなどし,多様化も進んでいる.
 このような時代認識の中,本ワークショップでは,実務者と研究者が集まり,再利用技術に関わる課題,再利用の取り組みや実践,さらには今後のビジョンについて理解や認識を深めることを目的とする.参加者のポジションペーパー,プレゼンテーション,あるいはミニチュートリアルなどによる話題提供に基づき,議論を深め,今後本分野における国内でのコミュニティ形成への基盤を形成したい.

討論リーダー: 野田 夏子(芝浦工業大学),小川 秀人(日立製作所),岸 知二(早稲田大学)
参加区分: ポジションペーパー/プレゼンテーションのみ/議論への参加のみ

 

論文投稿

投稿方法の手順に従いポジションペーパーを投稿して下さい.論文投稿に関する各種締切は主要日程をご参照ください.